SPAC「伊豆の踊子」 SPAC「伊豆の踊子」

SPAC「伊豆の踊子」を観劇、作品の舞台である伊豆に行きたくなりました

藤枝市出身の女優である河村若菜さんが主演されている舞台、SPAC秋→春のシーズン2023-2024 #1「伊豆の踊子」の静岡芸術劇場での公演を観劇しました。

SPAC「伊豆の踊子」
SPAC「伊豆の踊子」

静岡芸術劇場での舞台は初めての観劇、座席図を見て不思議な形状だなと思っていましたが、現地で納得。建物自体がそんな形状だったのですね。

半卵型の客席が特徴的な静岡芸術劇場
半卵型の客席が特徴的な静岡芸術劇場

上演前にはカフェスペースでSPAC俳優の武石守正さんによるプレトークもあり、川端康成作「伊豆の踊子」における時代背景などが解説されました。そして、いよいよ「伊豆の踊子」の開演時間を迎えます。

川端康成と伊豆の踊子、これらのキーワードからイメージされるのは純文学的な演劇作品。ですが、開演直後からその印象は大きく覆され、色とりどりの衣装に身を包んだ役者の皆さんによる三味線や小太鼓などの楽器と歌声により、華々しい雰囲気に劇場が充たされます。

100年近く前に発表された「伊豆の踊子」ですが、この公演では現代の楽曲やダンスなどを用い表現豊かに演出された内容に。そして、さらに目をひくのはステージ全幅に広がるサイネージによる舞台と映像の融合された空間が創出され、これまでに触れたことのない演劇体験となりました。川端康成も自身の作品がこのような演出で表現されていると知ったら、大いに驚くでしょうね。

そんな、華々しく現代的な演出があるからこそそれらをシャットダウンしたシーンでは、それぞれの演者による表現がよりストレートに観客に届きます。「伊豆の踊子」という作品自体、様々な差別や青年自らの幼少期から抱えてきた様々な想いが交錯する内容ですが、それらが100年前のみならず現代でも残り続けていることを痛感させてくれます。

もう一つ注目したいポイントとして、この作品では歩くシーンが多く登場しますが、とにかくその【歩く=旅をする】シーンの表現が印象的。歩くという表現で、ここまで多様な想いを抱くことになるとは考えてもいませんでした。役者の皆さんの歩みがキッチリと合っているからこそ伝わる表現、一方でその歩みが乱れるからこそ伝わる表現。旅における人と人との関係性の機微が、そこに込められていると感じました。

この作品を観劇し様々な想いを抱きましたが、一方でこれまでの観劇で感じることはなかった感覚に包み込まれました。「伊豆の踊子」の舞台となった土地に行ってみたい、そのことに尽きます。演劇では完全にそこにいる役者が主人公、でも、この作品ではその舞台を感じさせてくれることが特徴なのです。大きく鮮明に映し出された伊豆の景色が、有機的に作品に組み込まれていたことは大きいですね。私自身、伊豆には何度も訪れていますが、この作品を観た上で巡ることで、これまでとは違う目線で伊豆という土地を感じることができるでしょう。全ては難しいとしても、要所要所を歩いて巡りたいですね。

そして、踊子を演じた河村若菜さんについて。役者としての河村さんの演技は初めてでしたが、完全に14歳の踊子でした。身体表現から台詞、佇まい、その全てがこの作品における踊子そのものでした。「伊豆の踊子」自体、様々な形で作品にされていますが河村若菜さんが踊子を演じていることもこの作品の大きな魅力と言えるでしょう。いやいや、河村さんだけではなく、学生を演じた山崎皓司さんはもちろん、SPACの役者の皆さん全てが魅力的だからこそですね。

観劇後、カフェで銘菓「伊豆の踊子」とお茶をいただく。役者の皆さんともお話しさせていただきました
観劇後、カフェで銘菓「伊豆の踊子」とお茶をいただく。役者の皆さんともお話しさせていただきました

SPAC秋→春のシーズン2023-2024 #1「伊豆の踊子」は静岡芸術劇場での静岡公演を終え、12月15日には下田公演(下田市民文化会館 大ホール)、23日には修善寺公演(修善寺総合会館 大ホール)、翌2024年2月10日には浜北公演(浜松市浜北文化センター 大ホール)、25日には沼津公演(沼津市民文化センター 大ホール)と作品の舞台である伊豆をはじめとして静岡県内各所を巡ります。詳細な公演情報やチケット購入については公式サイトをご覧ください。

観劇を終えると、夕景の富士山がとても美しかったです
観劇を終えると、夕景の富士山がとても美しかったです